| 八月中旬に、ドイツに遊びに来る予定だった父方の祖母と伯父家族が来れなくなってしまった。みんながっかりしていたので、父が「ジュネーブの友人家族に会いに行こう」と言い出して土、日、一泊二日ジュネーブ旅行をする事になった。我々家族は十年あまり前に父の仕事でジュネーブに住んでいた。その頃、家族付き合いをしていた人達との再会の旅だ。
土曜の昼前、ホテルにチェックインした後、キール家族がホテルに迎えにきてくれ、昼食を取り、僕達が住んでいたアパート、その横にあるオービーブ公園、旧市街、兄が通っていた学校、家族で買い物に行ったスーパー、レマン湖、そして夕食まで共にした。両親とキール夫妻の仏語英語を混じえた語らいは、とても十年振りとは思えない程、親しげなものだった。特に娘のエロディが大人になった事、僕達が大きくなった事などお互いに感激している両親達の姿を見て、何か不思議な気持ちになった。
次の日は、フェビアン母子がホテルに訪ねてきてくれて、朝食から午後三時のフライトまで一緒に過ごした。息子のアドリアンは、父と同じ年齢のフェビアンおばさんと、四十歳も年上のアールおじさんの子供で、僕と同い年だ。アールおじさんは三年前に亡くなった。生きていれば、八十歳。若い頃、アメリカの有名なカウントベーシーでボーカルや楽器を吹いていた。
両親は、フェビアン母子と空港で、お互いに涙しながら別れた。ドイツに帰ってから、どうして?と聞いたら、「アールがフェビアンと離婚して、オハイオ州に戻っていた時ニューヨークの家に遊びに来て、ジュネーブの事、アドリアンの事を話したのを思い出したから」という事だった。理解するのが難しかったけど年齢や国、人種を越えた友人、というものを考えさせられる旅だった。
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