第12回受賞者一覧

題名 全ては心が
名前 望月 葵 14歳
国名 ドイツ
インタビュー
  「○○通りを知っていますか。」 
  まだドイツに来て日が浅かった頃、突然道をきかれて私はドキドキした。何とかドイツ語で分らない、と答え再び歩きだしたが、見ると私に道を尋ねた人はすぐに地元の人にききにいっている。先にそっちにきいてくれればいいのに、とまだ心臓がバクバクしていた私は思わずつぶやいた。どう見ても東洋人の子供なのにと、とても不思議に思った。
  あれから三年経つ。ドイツ語にもドイツ人にも慣れて、道をきかれても緊張しなくなった。外国の人とコミュニケーションを取るのを、面白いと感じる。
  それなのにどこか、越えられない壁がある。
  自分から異国の人に話しかける。実はこれは、結構勇気のいる事だ。私の場合、言葉が通じなければどうしよう、と必ず一瞬ためらってしまう。ジェスチャーか何かで、どうにかなることは分っているが、やはり少し怖い。
  この壁をどうやったら崩せるのか。一つは、語学を頑張れば問題は無い。しかし、私はもっと簡単な方法をヨーロッパの人から教えてもらった。
  それは、片言でも気にしない、という考え方をする事である。「コンニチハ。」しか知らなくても、ヨーロッパの人は話しかけてくれる。東洋人に道を尋ねてくれるのも、私達と自分を区別などしていないからだろう。かっこいい、と思わないだろうか。私は思う。かっこいいし、尊敬するし、何より嬉しい。国を越えてコミュニケーションをとろうとしてくれる。その相手の心が一番暖かい。
  「大切なのは言語という手段じゃない、心なんだ!」この合言葉を胸に私は心の壁を壊したいと思う。心こそ、人が世界共通で持っている、何よりも素敵な言葉ではないだろうか。

題名 気持ちをつないだもの
名前 中嶋 大樹 10歳
国名 イタリア
インタビュー
 ぼくは、ローマの古いマンションの三階にすんでいます。床が大理石なので物音をたてると、とてもひびいてしまいます。
  ぼくたちが引っこしてきたばかりの時、下の階のおじさんとおばさんがこわい顔で「くつの音がうるさい。夜中まで物音がする。」と苦情を言いに来ました。お母さんが、「うちは、家の中でくつをはかないし、夜も早くねます。」と言っても分かっては、もらえませんでした。その後も何回か、苦情を言われました。ぼくは、「いやな感じの人だな。日本人だからきらわれているのかな。」と思いました。
  でも、近所の人たちには必ずあいさつしようと家族で決めていたのでこわいなと思っても「ボンジョールノ。」と、下のおじさんとおばさんに自分から声をかけるようにしました。そしたら、ふきげんな顔やこわい顔がだんだんやさしい顔になって、にこにこしながら話しかけてくれるようになりました。
  ある日エレベーターで下のおばさんといっしょになりました。「いつも、だれがピアノをひいているんですか。」と聞かれたので「あっまた苦情を言われるんだ。」と思いました。でも、「いつもピアノの音が聞こえるのを楽しみにしているんですよ。子ども達がひいているなんて、すばらしい。どんどんやらせて。」と言われてびっくりしました。その数日後、げんかんのベルがなったので出てみると下のおばさんがピアノの楽ふをどっさりかかえて立っていました。「私もピアノをやっていたんです。でも、もう使わないからあげます。」と言ってバッハやベートーベンの古い楽ふをぼくたちにくれました。
  今では、おじさんやおばさんからあいさつをしてくれるようになりました。これは、国がちがってもイタリア語が分からなくてもあいさつとピアノの音で気持ちが分かり合えたんだなと思いました。

 
 

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